ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に活動中のヴァイオリニスト。「バッハからジャズまで」をテーマとした幅広いレパートリーを活かし、「ヴァイオリン独演会」シリーズを全国各地で展開中。2020年3月セカンドアルバム『MONA LISA』リリース。http://yukitakubo.com/

練習する意味

ウクライナでの演奏会は成功裏に終わった…と言わせて頂きます。


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あれだけオーケストラや指揮者と一緒に心から演奏をして、謙遜したらバチが当たります。

このブログでは一月ほど前から、さんざん「満遍なくさらうために」とか、「200回弾いてようやく手に馴染む」とかストイックに練習方法を追求してきましたが、本番前に現地では「とにかく休養することが大事」という結論に落ち着いていました。

どないやねん。

理想としたら、

満足するまで練習した上で余裕を持って本番に挑む


なのですが、少し突き詰めて「練習する理由」を考えていました。


結局、練習は「不安要素を無くす」ため


ではないかという結論です。

その楽器や曲と初めて向き合う時はゼロですから、やっぱり練習しないと不安です。

曲目やシチュエーションによって、初見で演奏するのに不安がなければ練習しないでも大丈夫でしょう。
あるいは譜面に目を通しておけば十分かもしれません。

不安がなければ。

不安に少しでも感じたらさらっておくべきです。

不安があると、集中へ向かう良い緊張感ではなく、失敗を恐れて無難にまとめたり守りに入ったり、手が震えたり、良くない方向へ向かう緊張が走ります。

また、なんでもないような箇所を直前にたまたま間違えてしまうことがあります。

そんな時は、「たまたまだろう」と物凄く軽く捉えるか、逆に注意してもう一度よく確認し、失敗イメージを無くすかどちらかをオススメします。

本当に気にしなければ良いのですが、直前に一度付いたイメージって、本番の緊張感ある、研ぎ澄まされた集中力の中で鮮明に蘇ることがあるのです。

私はそれほど自分の余裕を信用できるタイプではないので、何気ないミスほど注意してさらったり、楽譜を穴が開くほど見つめて覚えなおしたりしました。

技術的なことだけでなく、休符の数え方などでも起こりやすいです。

なので、独習している時だけでなく、アンサンブルのリハーサルをしていて誰かがずれた時なども、「あっごめんごめん、本番はちゃんと数えるわ(._.)」で済ませず、お互いのためにちゃんと確認し直したらベターです。

いっぱい練習して備えるのも、

「練習できてない…怖い…」
という不安を無くすためですね。

決して、練習自体が重要なのではないと思います。

練習も、周りの状況確認も、集中を保てる十分な休養も全部大事です。


YukiTAKUBO; Violine