先週末、今年の夏の自分への課題としていたコンクールの地区本選がありました。
私はコンクールに数えるほどした参加したことがありません。
30代になった頃、何かへの焦りから「30代のうちは毎年何かしらのコンクールに参加する」という課題を自分に課しました。
今年は某国際コンクールです。学生の頃は国際と名の付くだけで戦意喪失してパンフレットすら手にしませんでした。
今年は、やるか。
そう決意してエントリーしたのはウクライナへ行く前。
その時は必死で音源審査にかける音源を選び、審査料を払い込んだATMに手を合わせる勢いだったのですが、音源審査の結果が届いたのは飛行機に乗る直前、帰って来たらあの一夜の感動に浸っていて戦意はどこかに吹き飛んでいました。
このブログでも「無欲で弾く練習」と書きました。
それでも…
やっぱり、審査を終えてから結果が届くまではソワソワします。
郵便の来ない日曜日が長い…
化粧品が切れたのでネットで検索していても、それは「今一番欲しいもの」ではないからどうでも良くなったり…
ポストを覗いて郵便物に心躍らせたら「請求書」の文字に肩を落としたり…
週明けの朝、まさに自宅を出ようとした時です。
こちらへ向かって止まる一台のカブ。
まさにこの曲の気分笑
見覚えのある封筒が投函されました。ミスターポストマンが立ち去るのももどかしく、封を破って取り出した一枚の紙には、
地区本選合格おめでとうございます。
の文字。
無欲に…だの何だかんだ言っても、今一番欲しかったのはこの紙切れだったのです。
(一通の紙切れというのは、人の日常を良くも悪くも変えるのだなぁ…とも)
初めて、音源審査以外の予選を通過して最後の本選に進むことができました。
10月の本選まではあっという間だしその間にはリサイタルもありますが、コンクール参加を始めてから今まで、亀の歩みだけど目指す方向を向いていられたのかな、と思えてとても嬉しいです。
地区本選で弾いた曲にはこれまで三人のピアニストと、マエストロニコライとチェルニーゴフフィルの力添えと、二人の先生の教えが詰まっていました。
その事を真摯に受け止めて、本選にも謙虚に臨みたいと思います。
さて。
その「一番欲しかったもの」を懐に、晴れて化粧品を買いに行った私。
「ちょっと日焼けされてますね〜、バカンスですか?」
「甲子園にいってたんですよ」
「息子さんの応援ですか?」
…
(そろそろ息子いてもおかしくない歳やしなー、…ん? 甲子園て高校球児しか今いはらへんやんか、高校生の母って…!)
凹みます、地味に。じわじわと。
YukiTAKUBO; Violine