ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に活動中のヴァイオリニスト。「バッハからジャズまで」をテーマとした幅広いレパートリーを活かし、「ヴァイオリン独演会」シリーズを全国各地で展開中。2020年3月セカンドアルバム『MONA LISA』リリース。http://yukitakubo.com/

※弦楽器限定※ たまには近所に遠慮しても良いことある

練習場所にお困りの弦楽器奏者の皆さん、今日はどこで練習しましたか?

 
基本的には練習場所にめぐまれている私ですが、
 
たまにはご近所さんに遠慮して小さな音で自宅で練習するのも悪いことではない
 
という持論を書いてみます。

 

 
最初にお断りしますが、例え小さな音でも夜中に住宅街で練習しようとか、わざわざ窓を閉められる所を開けっ放してみましょうとか、騒音を推奨するものではありません。
 
また、弦楽器限定というのは、管楽器だと弱音で吹くと音程が変わったりもするので、良いとも悪いとも私には判断しかねるためです。
 
結論から言うと、どんな激しいffffとかフォルテシモの箇所でも、p、ピアノ、弱音で敢えて練習する大事さ、ということです。
 
昔から良くレッスンで言われても来ましたが、一番最近思い出したのが、ウクライナの音楽室ではなくアパート(一応時間指定で音出し可物件)で練習していてとってもためになったから、このようなタイトルにしました。
 
逆に、音出しOKの音楽室で、物凄く音響が良くて、隣からもガンガンに練習する音が聴こえてくる環境は、思い切りは掴めますが、どうしても細部を聴く耳が雑になります。
 
実技試験やコンクールの控室で何十人がいっせいに練習している中でさらっていた時は弾けたのに、いざ一人静かな舞台に出てみたら全然弾けてなかった、とがっかりした経験はないでしょうか。
 
これはもちろん緊張もありますが、大音量の中で麻痺した耳で聴き飛ばしていた細部を改めて聴いてしまったり、案外小さく弾いていたつもりが「コントロールの容易な」楽な音量で弾いていて、急に力のコントロールが難しくなったためもあると思います。
 
 
ウクライナでは最初、よく響くホールの控室で練習して、バッハのフーガなんか初見でも上手に弾けた気がして良い気になっていたのですが、レッスンで全く音の響かない部屋で弾き始めた途端あまりに自分が下手に聴こえてがっかりし、また焦って物凄い腕力で弾いてしまった経験から、
 
・極力音の響かない、下手な所がよく分かる場所
 
と、
 
・(自分に自信を付けるため)良く響く部屋
 
をつかいわけるようになりました。
 
ヴァイオリンですからアパートでもどこでも移動自在です。
 
アパートでは、音出し可とはいえ、お隣の生活音が聴こえると何だか遠慮してしまって…
 
とりあえず、弱音でさらうようになりました。
 
そうしたら、出るわ出るわ、良い気持ちで弾いていたのに微妙に高い音程低い音程。
 
或いは、勢いでコントロールできていたつもりで全くできていなかった移弦。
 
これは良い練習になる、と割とアパートに籠るようになりました。
 
※もちろん、しつこいですが、この時間まで、という大家さんとの約束の時間制限は守っていました※
 
※裏ワザとして、どうしても制限時間より長く練習したい時は、弓を浮かして音だけ出さない弾いているフリも案外良い練習になります。
 
 
 
考え方一つで、どこでも良い練習場所に変えることは可能だと思います。
 
練習中の楽器は決して美しいだけではありません。我慢してくれている家族にも感謝しつつ、頑張りましょう。
 
 

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※実家のお子はヴァイオリンを弾き出すや否やマッハで逃げて行きます。いつもごめんね。
 
 
YukiTAKUBO; Violine