ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に活動中のヴァイオリニスト。「バッハからジャズまで」をテーマとした幅広いレパートリーを活かし、「ヴァイオリン独演会」シリーズを全国各地で展開中。2020年3月セカンドアルバム『MONA LISA』リリース。http://yukitakubo.com/

このボーイング練習だけは常にやっておいたほうがいい

こんばんは。

 
弦楽器を愛する皆さん、特に弓で弾く弦楽器を愛する皆さん、日頃ボーイング練習はなさっていますか?
 
どんなボーイング練習をなさっていますか?
 
基本のき、のまっすぐ、素直な弓の重みをのせる全弓の練習や、デタシェが垂直に弦上をぶれず弾ける練習。
 
それも大事ですね。
 
今日は、私が常に苦手としている奏法について改めて「常日頃からやっておけ」と自戒を込めて記事にします。
 
 
 
 
それはこれ。

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※教材はなんでもいいのですが、便利な便利なクロイツェル42の2番を基に書きました。私も普段このエチュードで練習しています。
 
同じ音を2つ


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或いは3連で3つに
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割る練習。
(この奏法、改めて何て言うんだろう?)
 
告白すると私はこれが大の苦手。
元々力みやすい私は、この余分に付け足したヒゲを見ると条件反射で右腕の上腕二頭筋が固まり、弾くというより力んだ反動の振動でブルブルやっちゃいがちです。
 
2連ならまだなんとかそれらしくなるのですが、3連は絶対の絶対にうまくはまりません。
 
3連を繰り返すというのは運動ではなくほとんど算数です。
 

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なぜなら、3イコール奇数を繰り返すということは、ダウンボウ(下げ弓)とアップボウ(上げ弓)の二種類しかない繰り返しの弓順が、毎音ごとにアタマの弓がダウン、アップと交互に来ます。
 
人間、力押しの振動でもダウンボウをアタマに合わせるのはなんとなくできるのですが、赤で丸つけた所、アップボウをきっちり音の変わり目に合わせるのって難しいんです。
 
算数する必要があります。
 
単純に3つ数える算数です。
 
そう、頭をも使った上で、それを自然に身体に覚え込ませる必要があるんです。
 
 
この3連の音型、オーケストラのパートだと割りと良く出てくるのですが、常にオーケストラにいるわけではない私は急に出てくると弾けてるようで弾けてないような、何とも気持ち悪い感じに…
 
これ。
 
毎日1分弾いておけば難なく弾けるんです。
 
所が、ちょっとサボり、また使う機会もなくまたサボりしばらくすると
 
 
「123123…ダウンアップダウンダウン…ぐはっ(@_@;)」
 
 
ってなります^^;
 
なので、私は特に苦手なのもあり、毎日の基礎練習に組み込んでそれぞれ30秒ずつくらい、必ず弾くようにしています。
 
 
ポイントは、
 
・インテンポで(どれだけゆっくりでも最初は構わない、必ずメトロノームに合わせてマイテンポでゆらゆらしないこと)
 
・「ここまでは力まず自然な手首の運動で弾ける」という限界の速度一歩手前で練習すること。
 
焦らなくて良いです。余裕持って弾き続けていれば、今以上のテンポアップに必要なのは力でなく殆ど頭の慣れですから、自然に上がっていきます。
 
絶対に力みの反動の振動で弾かないこと。頭で何を弾いているか理解できつつ弾くこと。
 
その速さが分からなかったら、これを試してください。
 
・今から弾こうとするこの音型を、2連なら「タカタカタカタカ…」(上の楽譜だと、ドドミミソソファファ…の音程で)、3連なら「タカタ タカタ タカタ タカタ…」(同じくドドドミミミソソソファファファ…の音程で)呟いているみて下さい。
 
声で呟けなければそのテンポは頭が分かっていません。呟けるテンポを探って下さい。
 
逆に、「口で言えること」は殆ど弾けます。
 
参考までに私の限界速度は、2連が4分音符=152(の中に音4つ)、3連が4分音符=92(の中に音6つ)です。
 
これを超えると私の上腕二頭筋が鉄になります。
 
 
しかし、数日サボるととたんにそれぞれ、126の72くらいに落ちます。
 
 
一日たった1分。
 
それだけで目に見える効果の出るエクササイズって、筋トレでもそうそうないと思います。
 
ぜひ取り入れて見てください。
 
 
「こんなもん当たり前に弾けるわ!」って同業者の方は、オーケストラで田久保が隣に座ってもトレモロが出現した瞬間にニヤニヤして横を見ないでね(^^)/
 
 
YukiTAKUBO; Violine