ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に演奏活動をしているヴァイオリニスト。クラシックからジャズ・歌謡曲まで幅広いレパートリーを持つ。2015年からヴァイオリン独奏作品を紹介することと、リクエストタイムなどを設けて“プロの生演奏を身近に”をモットーに「ヴァイオリン独演会」を続けている 。2017年11月ファーストソロアルバム「Around the World」リリース。

【ボーイング】基本は直角

こんばんは。

 
リサイタルまで一ヶ月を切りました〜

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先日、セッションホストの日にふら〜っとホームにヴァイオリンをされているお客様がお見えになりました。
 
大学卒業からヴァイオリンを始めたとのこと。
 
セッションはまだまだ…
 
と遠慮されていましたが、「肩凝りで悩んでいる、特に右」「オーケストラでもっと大きく弾いて、と言われると力んでしまう」との事で、しばし楽器を前にアドバイスだけさせて頂きました。

 

一見した所、ポジション移動もスムーズでヴィブラートもきれいにかかっているのですが、楽器がちょっと下がり気味でした。なおかつ、基本の身体から45度よりも少し楽器を外向きに構えすぎていて、その分弓の角度が手前に斜めになっています。
 
ボーイングの基本は弦に対して直角です。
直角に弦上を走ることによって、弦の上をぶれず、無駄なく振動が伝わります。
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これが斜めになると、扇状に揺れようとする力が働いて弦上を滑ってしまいます。
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なので、弦に対して斜めに弾く時は(意図的にであっても)そのブレを右手で修正しながらになり、その無駄なエネルギーがその分振動と鳴らずに消えてしまいます。
 
それを実感して頂くために、弓を持たずつまむだけにして、「弓の重みだけで直角に無駄なく」弾くとどれほど音が良く響き、楽器が振動するのかを感じて貰いました。
 
その時はマイ楽器をお持ちでなかったので、私のサブ楽器、スズキのアウトフィット店頭価格セットで6万円なりの楽器しかなかったのですが、
 
「アウトフィットの楽器でここまで響くんですね…!」
 
と、びっくりされていました。
 
また、この「まっすぐがいちばん響く」のは、弦と弓のとの角度だけでなく、弦と地面との角度によっても同じことが言えます。
 
「この響いた状態でもっと大きな音はどうしたら出ますか?」
 
とのご質問があったので、「ヴァイオリンのボーイングは無数に可能性があるので一概には言えないけれど、弓のスピード、使う幅、駒そばを弾く、または発音の強弱」と言った上で、
 
「オーケストラでアピールするなら、楽器を上げるだけでも効果あります」とお伝えしました。
 
普通は、楽器が地面に対して平行。それだと弦は少し下に傾いています。
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でも、例えばハイポジションなどでしっかり弾く時に「弦が地面に平行」くらいに楽器を上げると、弓の重みが完全に重量を味方に乗るので、良く響きます。
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この辺は、演奏スタイルによって先生の考えも色々だと思いますが、私が習った中ではウクライナのバジノフ教授が楽器ハングアップを推奨する方でした。
 
初めて「もっと上げて!」と言われた時は「まだもっと?!」と面食らいましたが、確かに振動はすごく伝わります。
 
ただ、常にその角度だとかなり疲れるし肩に負担もかかるし、ちょっと不自然。
 
ピアノでいうと、椅子から腰を浮かして全身で重みをかけて鍵盤を叩く感じでしょうか。
 
ここぞという時のアピール用ですね。
 
ただ、最初の「弦に対して弓が直角」の基本は、最初は皆習うのですが、慣れてくると多少の誤差をテクニックで修正できるので忘れがちです。
これを常に意識すると、楽器本体の鳴りが変わり、体の負担も減ってくるはず。
 
私が今まで映像でいちばん凄いと思ったのはナイジェル・ケネディです。

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エキセントリックな演奏で知られますが、彼のヴィヴァルディの四季より「夏」の早弾き、完全なるレールの上を弓が走るが如き一部のブレもない完璧な直角に呆然としました。
 
個性的だけど素晴らしい人、基本は抑えているんだなあ…と反省したものです。
 
 
YukiTAKUBO; Violine