初めて参加した大阪国際音楽コンクールは、ファイナルまで進出でき入選という結果で終えることができました。
審査終了後、伴奏の牲川旬哉さんと。
ファイナリストの資格を得られたことが嬉しくて、「入選で良い! 入選で十分!」と演奏前は思っていました。
また当日にプログラムで初めて知る他のファイナリストは関東の名門校出身の方が多く、「なんで? なんで?」という動揺もありました。
でも、帰る道すがら思いました。
やっぱり、メダル取りたいな、と。
メダルというと、1~3位までの入賞になります。
今回の参加部門は、14人のファイナリストの内、1~2位は該当者なしというなかなか厳しい審査結果が出ていました。
「きっと、この人が1位を取るだろう」と思った人がいたのですが、その方でも最高位ではありませんでした。
最高位の3位は私の直後に演奏した方だったので、聴けませんでした。
当日の自分の演奏のできはどうだったのかというと、「そこそこ」でした。
大きなミスもなくそんなに緊張していたつもりはなく、楽しんで演奏したつもりだったけど、やっぱり身体が固く「えっ、弓が撥ねない!?」って動揺した瞬間もありました。
テンポ設定は伴奏者が非常に上手にコントロールしてくれたので、流れは良かったと思います。
「絶対メダル取る、自分で年齢制限は設けない」
と決めたので、その日の内からプログラムと審査結果を照らし合わせ、自分なりに考えてみました。
ファイナルでは講評は出ないので残念ですが、評価された人と自分や他に入賞していないファイナリストとの違いは思い当たるものはたくさんあります。
コンクールの評価は適当だ、という意見も耳にすることがありますが、今回の審査結果は非常に妥当だと感じました。
入賞した方というのは、本人は色々あるかとは思いますが、少なくともいちファイナリストから聞いてミスや奇をてらうということがありませんでした。
「全部の音程が悪くはないんだけど、緊張して1つ音程外した」というのもなかったように思います。
かといって、「ミスなく無難」という演奏ではなかったです。
純粋な音楽という感じがしました。
不自然なアピールや、委縮から来る消極性やミスを全部濾過した後に残った音、という感じです。
「コンクールで評価されるような演奏はつまらない」
そうは決して思いませんでした。
確かに、入賞しなかった演奏で素晴らしい所のある演奏はたくさんあったはず。
でも、作曲家の描いた完璧な演奏はこんなだったのではないか…
そんな演奏がありました。
このコンクール入賞が全てでは全くないのですが、私は純粋にそのような演奏をした音楽家を羨ましく思いました。こんな演奏ができるまでには、どのような景色を見てどんなイメージを描いてきたのだろう。
むしろ、「入選で良い!」そう思っていた自分の方がよほど評価にこだわり、音楽を突き詰める気持ちを置き去りにしていたように感じました。
きっと、いつか、いや、絶対その景色を見たいです。
明日からまた。一歩ずつ。
YukiTAKUBO; Violine