ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に活動中のヴァイオリニスト。「バッハからジャズまで」をテーマとした幅広いレパートリーを活かし、「ヴァイオリン独演会」シリーズを全国各地で展開中。2020年3月セカンドアルバム『MONA LISA』リリース。http://yukitakubo.com/

見たい景色

先日、リサイタルではピアノ調律師としての顔でアドバイスして下さった志野靖家さんがデュオライブのリハーサルに来てくださいました。

 
10日がコンクールということを伝えてあったので、「どやった?」と訊いてくださり、入選報告と一緒に入賞までチャレンジする意向を伝えましたら、ご自身のコンクール経験談を語って下さいました。

 

志野さんは、なんとリチャード・クレイダーマンコンクール優勝者なのです。
 
優勝される前年は第二位。
 
その時は、優勝者の演奏を聴いた瞬間「これはあかん、音が違う」と完全に気持ちで負けてしまったそうです。
 
でも、それからは一年後を目指して猛練習。家族に頼み込み、半額は自分でアルバイトをしてグランドピアノも購入して再チャレンジ。
 
その時のコンクールでの演奏はすべてが「はまった」ということで、弾き終えた瞬間内心ガッツポーズしたそうです。
 
「これで負けたらしゃーない」とも思ったけど、もう優勝だって分かったそうなのです。
 
そして、もちろん優勝。
 
フィギアスケートの選手なんかも、演技後に「うーん…」って表情をする人も、涙のガッツポーズをする人もいますよね。
 
順位が問題ではないんです。それくらい自分で「やった!」っていう演奏を、コンクールという場で経験してみたい。
 
リサイタルではお客様の声援に支えられ、「やった〜!」って思えましたが、コンクールやオーディションでそんな経験をしたことはまだないです。
 
ウクライナでの今年のハチャトゥリアンは「ここが最高地点」って思いましたが、あくまでそれはニコライやオーケストラメンバー、ウクライナの聴衆と一体になって紡いだ舞台だったから。
自分一人の自分との戦いではなかったです。
 
緊張とか、「あの人が絶対一位や」ってノイズの一切ない自分の時間、自分の最高の演奏。
 
志野さんはその景色を見ている。
すごく羨ましいです。
 
「来年も絶対チャレンジしいや、今からそのつもりで練習したらええねん!」ともエール送って下さいました。
 
30代からのコンクールチャレンジですが、情熱を持って続けたいと思います。
 
 
そんな志野さんとのデュオ? というか対決ライブはこちら。
 

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ヴァイオリン格付けチェックもやります(*^_^*)
数々の舞台を共にした私の愛器と3万円のヴァイオリン、どちらがどちらか見極めてください!
 
 
YukiTAKUBO; Violine