ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に活動中のヴァイオリニスト。「バッハからジャズまで」をテーマとした幅広いレパートリーを活かし、「ヴァイオリン独演会」シリーズを全国各地で展開中。2020年3月セカンドアルバム『MONA LISA』リリース。http://yukitakubo.com/

ベートーヴェン・ヴァイオリンソナタ8番の魅力

来月はツィクルスでも楽しみだった第8番!

 
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やっぱり、この曲は本当にワクワクします!
 
その魅力は、
 
・ウィーン的な軽快さ
・ジャズのセッション的な掛け合い
・牧歌的かつ分かりやすい哀愁の第二楽章
・ヴァイオリンが喜ぶ第三楽章
 
挙げて行くとキリがないですが、これを第7番と第9番の間にもってきてあるのがまた見事ですね。
 
第9番は言わずもがな、第7番は「これが! ベートーヴェンだーっ!」という、何となく私のイメージではジャンプの格闘漫画の必殺技シーンと共に紹介されるような…
 
見語な様式
器楽への挑戦
人間の感情のあらゆる葛藤と克服と意思をあらわすもの
ヴァイオリンとピアノがこれほどまでにせめぎ合える
 
といった、見事・壮麗・克服… 
 
間違いなく名作でありながら、
 
ポップコーンをぽりぽりつまみながらは聴けない音楽です。
 
対して、第8番。
 
冒頭を初めて聴いた時に、「ど、ドラえもん?!」←世代がバレます
 
と思ってしまったイメージが強いのか…
 
アニメーション映画の劇伴として使っても絶対に合うはず。
 
ベートーヴェンらしい極端な強弱は健在ですが、アニメーションの猫とネズミがポカスカ殴り合うコミカルなシーンの効果音にはめても違和感ないと思います。
 
聴いていて、ワクワクして仕方ない。
 
何なら、小さな子供がポップコーンをポロポロ落としながらキャッキャ鑑賞する場面もしっくり来ます。
 
渋いダンディが、オールドパーと葉巻を片手に鑑賞…ではないような。
 
器楽的で、難しいテクニックもあるのですけど、そんな箇所にあたった時、第7番だったら「むむむ…しかし弾ききらねば!」という感じなのに対して、「エヘヘヘ、難しいけど頑張っちゃう♪」って感じです。
 
ピアノとの掛け合いも、厳格なる様式に乗っ取り…というより、ニヤニヤしながら相手の出方を伺い、隙を付いて主旋律をかっぱらっちゃう、そんなセッション的な即興性が感じられます。
 
終わり方も、「ハイまた来週、サヨウナラ〜!」♪ちゃんちゃん♪
 
終わり。
 
これが譜面上で考え抜かれているのですね。  
 
天才!
本当に天才、試練と同時に音楽の神に愛された息子、ベートーヴェン
 
おんなじ様な感覚で大好きな曲が、ハイドンのチェロ協奏曲ハ長調です。
 
あれを聴いて「こんな曲が弾けるなんて、チェロずるい!」と思った時と全く同じです。
 
ヴァイオリンで味わえるのは至福ですね。
 
 
そんな訳で、物凄くハッピーな新年を過ごしています。
 
 
YukiTAKUBO; Violine