ヴァイオリニスト田久保友妃のブログ「四絃弾き。」

関西を中心に演奏活動をしているヴァイオリニスト。「生演奏を身近に」をモットーに、バッハのシャコンヌなどクラシックのヴァイオリン独奏からジャズまでの幅広いレパートリーを活かした「ヴァイオリン独演会」シリーズを全国各地で展開中。2017年ソロアルバム「Around the World」リリース。

2018.03.11.【TSUNAMIヴァイオリン】復興応援の集いとヴァイオリン独演会

東日本大震災から7年のこの日、TSUNAMIヴァイオリン「千の音色でつなぐ絆プロジェクト」545人目の奏者として演奏することが叶いました。

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TSUNAMIヴァイオリンとは…

それは、東日本大震災で発生した津波の流木からつくられたヴァイオリン。

震災後、被災地では至るところに大量の流木が積み上げられました。
日々伝えられるニュースでは、それを「瓦礫の山」と呼んだ。

しかし、その流木たちは決して「瓦礫」などではないのです。

それは被災地で生まれ育ち、幾年もの間人々の営みを見守ってきた木々。
それは震災前、家屋の床柱や梁に使われ家庭をあたたかく見つめていた木々。
その一本一本に、歴史や香りが詰まっているのです。

流木をヴァイオリンとして生まれ変わらせることで、
宿されている東北の故郷の記憶や想い出を、
音色として語り継いでいくことができるのではないか。
その想いから、ヴァイオリンドクター中澤宗幸氏によって、
流された楓と松を用いた一挺のヴァイオリンが製作されました。

被災地復興の旗印となるよう願いを込めて、
魂柱には陸前高田「奇跡の一本松」の木片が用いられ、
裏面にその姿が描かれています。

どれだけ時が流れても、自然への畏怖を失くことなく東日本大震災を決して風化させないこと。
そして"TSUNAMI VIOLIN"の音色の響く場所に人々が集うことで、地域、家族の絆がより深まること。
さらには、
このヴァイオリンが演奏家の手から手へ受け渡されていく過程で、
日本全体のつながりが強くなっていくことを、願ってやみません。

2014年6月現在、
ヴァイオリン4挺、ヴィオラ挺2、チェロ1挺が製作され、
世界中で、その記憶を語り響かせつづけています。

TSUNAMIヴァイオリンHPより)

classic-for-japan.or.jp

 

最初のきっかけは、キミマツサクラさんによる、東北復興応援のつどい。


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この日、支援者の思いを乗せた嵐電「キミマツサクラ号」にTSUNAMIヴァイオリンの音色を響かせるために東京までヴァイオリンを借り受けに走って実現されたキミマツサクラさんの皆様とご縁があり、こちらのつどいにて3人のヴァイオリニストの一人として。

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裏板の一本松の絵を皆様に見て頂けるように、と心掛けて演奏しました。

 

そして、キミマツサクラさんのご厚意…というよりは熱意により、夜ふら~っとホームでのチャリティ独演会を開催することができました。

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プログラムは

・律

・キミマツ

シャコンヌ無伴奏パルティータより)

・ラ・クンパルシータ幻想

・愛の讃歌

・ひまわり

・花は咲く

花は咲くは、復興を願う人々の歌声をこのTSUNAMIヴァイオリンに共鳴させたい…という思いで一緒に歌って頂きました。

 

またチャリティ独演会では15725円もの募金を頂きました。これらはTSUNAMIヴァイオリンの返却と同時に、キミマツサクラプロジェクトさんを通してTSUNAMIヴァイオリン事務局に届けられます。

 

お運び頂いた皆様、また、キミマツサクラの皆様と、このご縁を繋いで頂いた皆様。ありがとうございました。

 


2018.03.11. TSUNAMI VIOLIN ~Ciaccona~

未熟なシャコンヌですが、このヴァイオリンでしか弾けない表現もあると思い、載せてみました。

 

夕方の一時、TSUNAMIヴァイオリンをお借りして練習することができました。

その時の録音です。

TSUNAMIヴァイオリンは作られて5歳前後? と若い楽器。私も普段から若い楽器を愛用していますので、新しいヴァイオリンには慣れているのですが…

新しいヴァイオリンの特徴は、「癖がない」「明るい」「まっすぐ響く」といったものだと思います。ですが、TSUNAMIヴァイオリンを弾いていて、

 

「痛い」

「寒い」

 

といった声のように聴こえた瞬間がありました。

(特に第一部のアルペジオのバス声部)

 

こんな経験は初めてで、「え、何で?」と混乱しましたが、ヴァイオリンの声を聴くつもりで弾き続けたところで、これは本当に一本松の聞いた・見た風景や感情なのでは…という気がしました。

 

今は決して明るいハッピーな楽器ではないと思います。

でも、ヴァイオリンは300年生きる楽器。千人といわず、何万人という人の思いを載せて受け継いで、300年後には花咲く東北の地に銘器として響き渡ったら良いなあ…と思っています。

 

…という話をチャリティでした所、お客様から「ほなあと3回くらい生まれ代わって弾かなな!」と言われました^^;

(来世はチェロが良いな←)

 

被災地や、避難者として生活されている方はまだまだ音楽を楽しむという気持ちではいられない方もたくさんいらっしゃると思います。

そこの葛藤はあるんですが…私にできること、というとやはり音楽を通した事になってくるので…

音楽は、戦争や災害の時に直接の盾にはなれないけれど、精神的にあと一歩、という時に大きなエネルギーになることがあるし、遠くからでもあの日を忘れず何かをし続けたいという思いを持った人達の一歩になることも…

そんな思いをもって、これからも何かできることがあれば、また届けられる音楽があれば、と思います。

 

東北に限らず、災害被災地の一日も早い復興をお祈りします。

 

YukiTAKUBO; Violine