ヴァイオリン弾きは楽器よりも何より、身体が商売道具です。
特に手。
悲しい話ですが、過去に道で転倒しそうになり、手をかばったが為に頭を打って亡くなったヴァイオリニストもいるのです。
かく言う私も、両親からも散々
「お前はどんくさいからようこけるやろうけど、こけそうになってもちゃんと手を付けよ!」
と諭されては来ましたが、つるっと足許が滑る度に両手を肩の高さに広げ、EXILE並みの前後開脚でビシッ! と止まるという変な特技というか癖が身についてしまってはいます。
言え咄嗟の防御本能というのは中々凄いものだと我ながら思います。
この変な転倒防止決めポーズは過去に10回くらいはやっているので、股関節脱臼(で済めば御の字なのですけど)する前に「滑りやすい靴」「こけやすい靴」は履かない、という対策を取るに落ち着きました。
だから、ハイヒールでカツカツと闊歩していそうなイメージのヴァイオリニストがライブ用のキレイ目のワンピースにスニーカーで歩いていても見なかったことにしてあげて下さい。
大体の本番では7センチヒールに履き替えていますよ(*^_^*)
私の商売道具の手入れ方法
手に保険を掛けるとか、夏でも手袋をはめているとか、特別な事はしていません。
主に気を付けているのは3つです。
①とにかく保湿
②上等な爪切りを使う
③手袋・湿布を常備している
①とにかく保湿
父はジャズピアニスト兼ジャズバーのマスターをやっています。
小さな家族経営のお店なので、従業員といえばマスター、ママ、それに私含め曜日変わりのホストミュージシャンが1~2人。
主に提供するサービスは生演奏ですけども、飲食店ですから当然、洗い物が発生します。
父は…
「洗い物すると手が乾燥してピアノが弾けなくなる」
を言い訳に洗い物をしません。(-.-)
(とはいえ、私がやろうとするとやってくれます)
私は普通に洗い物も洗濯もします。
ただし、少しでも水に触れたり洗濯物を触ったら、即保湿します。
ニベアとワセリンを季節に応じて使い分けていますが、ニベアはお風呂上りの全身にも使うのでひと月で大缶一缶使い切るくらい使います。
すぐにヴァイオリンも弾けます。
元々手荒れはしにくい性質なのかもしれませんが、手が荒れたことはないです。
②上等な爪切りを使う
ヴァイオリン弾きはとにかく爪を伸ばせません。
基準として、子供の頃は「手のひらから見て爪が見えないくらいまで切る」と教わりましたが、私は白い部分が全くないくらいの長さでないと邪魔に感じます。
本当は爪やすりで優しく整えるのが良いのだとは思いますが、なかなか面倒なのと、「シャー」という音が苦手で(・.・;)
ずっと前から欲しかった、SUWADAの爪切りを昨年購入しました。
いつか買おうと思いつつ、5000円以上の爪切りというのはなかなか思い切れませんでしたが、「商売道具の手入れ」と思ったら安い投資だと気付いて購入しました。
爪切り特有の「バチン」という衝撃がなく、「さくっ」と切れます。
良かったと実感したのは、足の爪もこれで切るようになってから。
私はなぜか足の親指の爪が真ん中から割れやすく、痛い思いをしたりジェルネイルで補強して貰ったりしていたのですが、SUWADAで切るようになってから割れなくなりました。
その他、小さな爪切りも常に携帯していてささくれやちょっと
③手袋・湿布を常備している
荷物を手に下げる時や物を運ぶ時、あるいは趣味のバッティングセンターで打つとき…(こればかりは危ないと言われてもやめられない)
誤って手を怪我しないよう、手袋は常備しています。
これの滑り止めなしの。
手袋さえしていれば、重い荷物も腕の筋トレと思って運びます。
実際、私は筋肉がなさすぎる方で、一弓スタッカートというヴァイオリンの奏法が上手なドイツの教授に「教えて下さい」と見て頂いた所、
「腕立て伏せ毎日80回。そしたらできる(*^^*)」
というので、公開レッスンで晒し者になりながら一緒に腕立て伏せをやったことも…
気のせいか、旅行帰り(=トランクを弾いて歩き回った後)は速弾きの限界速度が上がっています。
…腕立て伏せ…続いてないなぁ…
脱線しました。
それと、小さく切った湿布を小さなジップ袋に入れて常備しています。
どんくさくてよく脚などぶつけ青たんが出来るのにも対処していますが…
気を付けていても、譜面台に挟んで本番前に薬局に走ったことも。
この3つだけを気を付けていて、あとは普通に生活もし気晴らしのスポーツ遊戯も楽しんでいます。
YukiTAKUBO; Violine