協奏曲のオーケストラ合わせに先駆けて、
ウクライナ・
キエフ音楽院教授のアナトゥリー・バジノフ先生のマスタークラスを受けました。
マスタークラス…
ってどんなの?
というのを、せっかくなのでレッスン備忘録を兼ねて公開しようと思います。
そもそも、マスタークラスって何ぞや
というのも書こうとしましたが、思いの外長くなりそうなので落ち着いたら別記事にします。
レッスン開始直後、まずは冒頭のテーマの弓使いについて。
「ヴァイオリンのフォルテはブラスのフォルテとは違うので、弓を使いすぎないで」
という事を。
全体に、弓を使いすぎず弾く場所を精密にコントロールするようにというアドバイスが多かったです。
うん…
確かに。
ヨーロッパは大体そうなのですが、
ウクライナってどこの建物でも部屋でも基本的に音がめちゃくちゃ響くんですね。
教会をイメージして貰えればと思うのですが、天井が高く石造りだったりで、気持ちよく音が響く。
以前
ライブコンサートでビーバーの
パッサカリアを弾いた時に「良かったけど、ああいうのってヨーロッパの教会とかで聴く音楽でしょ? 残響を脳内補完したら聴けるけど」という感想がありました。
ほんとに。
バッハの
無伴奏なんか、こちらで弾くと急に上手くなった気になります笑
日本はどうしても湿気も多く、そもそも、防音対策として吸音素材が使われていることが多く、音が響かない。
それで、日本では響きまで自分で作ってしまうというか、残響がないので弓をコンパクトに使いすぎると味気なく感じる時があります。
弾き方は日本で同じで良いのかはともかく、今回はこちらで演奏できる訳だし、逆に日本の音響でも大前提として弓をコントロールした上で微調整できるよう、とにかく弓をさかさか使うのが当たり前になってはいけないなと感じました。
そこで、ピアニストでもある先生のお嬢さんが登場。
伴奏を弾いてくれることになりました。
「第1楽章は四、五年前に弾いたっきり、あとは、初見…でも頑張ってみる!」というフランクな感じ。でもとっても上手。
ちゃんとソロを聴きながら、先生の出すテンポを掴みながら弾いてくれました。
そしてとりあえず全体を通して弾き、まずはピアニストから、
「ここは絶対にマイテンポで行かないで。フルートが死ぬほど難しいので、フルーティストにヴァイオリンに合わせろというのは酷よ! あなたがフルートに合わせて」というアドバイス。
初見で自分が弾くのに必死にもならず、良く、的確に掴んでいるなぁ…と関心。
改めて二人でそのパートを合わせていると、先生が興味深い話をしてくれました。

その踊りでは、女性は朗々と歌うだけ、彼女はカサカサと踊らない、それに合わせて踊るのが男性のコサック。
ハチャトゥリアンは歌と踊りの融合を見事に音楽に表わしているよ」
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ホパーク
そして、とっても元気な先生ときれいなお嬢さんが一生懸命コサックダンスらしきものを踊って伝えてくれました(*^^*)

なるほど!
と思いましたね。
ロシア音楽好きとしてコサックダンスはもちろん知識としてありますが、一歩踏み込んで音楽に活かすとはこういうことなんだ!
と。
ちょうど到着した日に、チェルニーゴフフィルの音楽監督が「シェヘラザード」について、この部分がどういう場面か知って演奏しているか、という話をしていたのも思い出しました。
普段は音程とか、奏法とか、そういった技術的なことばかりになりがちですが、すごい音楽家はそこまで自分の意見がある。
楽曲アナライズがもっと楽しくなりますね。
あとは、
「ここのアクセントは焦らないで、

でもケネディのようにアピールするんだ!」
とか。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ナイジェル・ケネディ
先生自身ガンガン右足を踏み鳴らしながらやって見せてくれました(>ω<)
後はやはり弓の使い方ですね、私の場合、ゆっくりと練習する時にアクションも全て(弓の使う量も、左指の上げ下げの幅も)が大きくなって癖づいてしまい、オリジナルテンポで弾くときに速さにアクションが対応できていないと指摘がありました。
「フィルムのコマ回しのように、ゆっくりでも小さな動きのままやるんだよ」
それから、楽器が下がっているとか。
練習でもっと鏡で姿勢を確認したほうがいいな。
では、一方的なレッスンメモになりましたが「マスタークラスってこういうことするんや」「ウクライナ人てこういうことを考えるんや」と興味持って貰えれば幸いです。
ちなみに、マスタークラスと銘打ったものは一部関係者のみや有料の場合もありますが、基本的に聴講が可能です。
びっくりするような巨匠が日本でマスタークラスをすることもあるので、興味があったらお問い合わせの上ぜひ聴講してみてください。
レッスン生よりも客観的に聴ける分、色々な発見がありますよ。
ではおさらいに行ってきまーす。
YukiTAKUBO; Violine