私の演奏活動を支え続けてくれているもの、その一つがこちらの顎当てです。
一見ただの黒檀の顎当てなのですが、
めちゃ高さがあります。
この写真は顎当てカバーをオーダーした時に撮った写真ですが、楽器の天辺から3センチ。一般的な型で1.5~2センチくらい。
顎当ての前に、肩当てが長い間自分の身体にフィットしないと感じていました。
2008年にベルリンの教授にレッスンを受けた時に、首の長さに見合うだけの顎当ての高さがないからだとアドバイスを受け、そこから高さのある顎当てを探し続けて2012年の夏、ウィーンのとある楽器屋でこちらを譲って頂きました。
少し薄汚れて工房の引き出しの中から発掘されたものでしたが。
職人さんいわく、「ウィーンフィルのBrandという身体の大きいヴァイオリニストがオーダーメイドして楽器と一緒に置いて行ったもの」ということでした。
取り付けて貰い試したところ、今までに感じたことがないくらいぴったりとフィットするのを感じ、即買い取りました。
ウィーンフィルのお下がりという響きも何となく気に入っています笑
金具は錆びついていたのを帰国してからチタンのものと交換してもらい、金属アレルギーの私にも優しい仕様に。
この顎当てと出会わなかったら、私にとってヴァイオリンとはもっともっと弾き難く、イメージした音がダイレクトに楽器には伝わらない異物のままでした。
もし今の楽器を手放さなければならなくなったとしても、私はBrand氏と違ってこの顎当てだけは手元にキープし続けます。
YukiTAKUBO; Violine