結局、昨晩はほとんど眠れませんでした。
時差ボケというやつなのか、興奮しているのか分かりませんが。
ゴロゴロしていても勿体ないので、夜明けと共に2つのミッションを開始することにしました。
一つ。地元のお店で昨日パッカリと開いたサンダルを治すこと。
二つ。カレル橋でヴァイオリンと一緒に写真を撮る。
何かね。目的があったほうがただ散歩するより楽しいので。
一つ目は、Museum駅付近に2店舗検討をつけました。ただし8時から、かたや9時からの開店なので、それまでカレル橋を目指して歩くことに。
カレル橋であわよくば弾けたら良いなぁと思いましたが、カレル橋でのパフォーマンスは年間一万円+月々千円程度の行政の許可制らしいです。
投げ銭がそれなりに集まることは予想されますが、なかなか高価ですね。日本の物価感覚でもちょっと躊躇します(京都市サブウェイパフォーマンスは年間二千円)。
だから楽器構えるだけでもダメだろうな……、と思って手ぶらで行ったところ、早朝でまだ人影といえば韓国人のカップルが結婚写真を撮っているグループがたくさん。
それぞれに花嫁さんのポージングに夢中です。
これは、どさくさに紛れてもバレないかも笑 と思い、すっかり乗りなれた地下鉄でホテルに取って返し、楽器を掴んでカレル橋へ。
さすがに8時をすぎ、許可書を持っているらしいパフォーマーが準備中でした。
なので、橋の入口でだけ
これ撮って脱兎のごとくホテルに逃げ帰りました(←別に悪いことはしていないはず)。
ミッション2は完遂です。
ミッション1ですが、8時から開店の店はどうもオーダーメイド的な店構えなので、治してくれても今日中は無理そう。なので、ミスターミニット的な駅中のお店が9時に開くのを待ちました。
ところで、勝手なイメージなのですが、チェコの人は割と古びたものも大事に使っている印象だったのです。
ノボトニー先生も今年スニーカー履いてるの初めて見たくらい、初めて会った10年くらい前から去年まで毎年同じ革のサンダル履き(レッスン中の話ですよ、衣装ではなく)でしたし。
なので、私の5年選手のビルケンシュトックでも治せるなら治してくれると思ってたのですが。
以下、店頭でのやりとり。
私『ハロー! この靴底引っつけられますか、何時間かかる?』
お兄さん『5分。(接着剤を塗りながら。しかもはみ出した所を自分のシャツで拭きながら)60コルナ(300円位)』
私『お願いします!』
そして左のサンダルを渡す私。その間片足立ち。ミスターミニットのようにスリッパが出てくる訳はない。
と、ここでお兄さんは自分のサンダルスマホのGoogle翻訳を出して来ました。以下それぞれチェコ語と日本語をGoogle翻訳された結果の会話。
お兄さん『ところで、このサンダルはこりゃひどい。なぜこれをまた治そうと思うのか』
私『いやー、まあ、今回の旅行で歩き回れる履物はそれしかないから、とりあえず今日のところはそれがないと困るので』
お兄さん『これは治せるが、すぐにまた壊れる。もっとちゃんと治すことはできるが時間はかかる』
私『何時間? いくら?(←昨日のタクシーで学習)』
お兄さん『一時間あれば充分。そして650コルナください。両足の靴底を全部張り替えます』
3000円ちょっとですね。相場は分からないけど、日本でソール総張替えするよりは多分安いし、何よりチェコで靴を治したらどうなるんだろう、というこれぞまさに求めていたネタがやってきたので、
私『やっちゃってちょうだい!』 お兄さん『よしきた、このサンダルを貸してあげよう、履くが良い』
と貸してくれたのがお兄さんの30センチはあろうかという巨大なクロックスもどきでした。
それを借りて再び観光に出かけましたが、私が歩くたびにパカパカと馬の蹄のような情緒あるアルトバウの街並みに響きます。
犬まで怪訝な顔で見てきましたが、下駄の国の人間はパカパカでも歩くのが上手いのだ。パカパカ。
そしてプラハ城の周りを見物して帰る。
一時間経過。
私『ハーイハウダズイットゴーオーン』
もちろん出来ていませんでした。パカパカ。
リペア店にまで匂いの流れてくるケバブをお昼に買いました。
ホテルのチェックアウトが12時までなので、まず部屋戻って、ケバブを頂いてから(韓国料理の敵のように辛かった)、荷造り、チェックアウトまではヴァイオリンの基礎練習をしていました。
荷物はホテルに置いたままパカパカ。
SIMカードはいまいち
ここで、昨日アクティベイトしたSIMカードから「もう総容量使ったよ」とメッセージが来ました。
まさか、1.5ギガが一日で?!
Googleマップくらいしか使っていないのに……
うーん、まあ失敗だったということかなぁ。相場はもっと高いようなので。
またブルノに着いたら考えます。パカパカ。
WiFiのある地下鉄の駅でしばらく家族とMessenger、ブログ下書き。パカパカ。
私『ハーイハウダズイッ(以下略)』
お兄さん『できる! できるからもうちょい』
とはいえ、どうやらお店でオーダーメイドのサンダルとして作る材料らしいゴム板を削って接着剤を塗って乾かしては少しずつ削り、を繰り返すなかなかの手の込みよう。
お兄さん『ニューシューズみたいじゃない?』なんか嬉しそうなのでこちらもニコニコしながらとことん見守る。
待っている間にももちろん他のお客さんがやってきて、合鍵や靴の修理をオーダーしていきます。基本的に鍵はその場で。
靴を持ち込んだのはマダムも若い男性も、一人は美人すぎてロシア系だな、と思ったらやはりお兄さん、またGoogle翻訳で喋り出しました。
言葉は分からないながら、生活している市民の様子を眺められたことはとても興味深いです。
ロシア系の美少女はウイングチップ風の靴の踵治しをオーダーしていましたが、それ以上のコストはかけられないからそこだけ、と言っていたようでした。
美少女が帰ると、またGoogle翻訳を日本語に切り替えて『見て見て』と。
何ということでしょう(←チェコまで来て匠)
所々ブツブツと切れてしまい、ビルケンシュトック本店でも修理不可と言われ自分で糸で仮止めしていたアッパーのエナメル革は裏に薄い本革を特徴的な蝶の羽根のような形に同じに切り抜いた上で補強してあり、擦り切れて自分で何度もシューグーで埋めた靴底はゴム底を二重に貼り固め…
私『わーぉ…!』
お兄さん『アッパーに貼る革があったから思ったよりたくさんの作業になった。靴底はオリジナルのブラウンに合わせたよ。辛抱強く待ってくれてありがとう』
これなら何時間でも待ちますわ。
お兄さん『それと、思ったより作業が大変だったから(見れば分かる)あと150コルナ欲しいな☆』
200コルナ渡しときました。
お兄さん『それとショップカードを渡すから、あなたはFacebookに良い事を書くと良いでしょう』
という訳で、写真も撮っておきました。
最後まで履き心地どう? どう? と気にするというよりは褒めてくれるのを待っているようなお兄さんでした。
もちろん、「あんたはチェコで一番のリペアマンさ!(アメコミ吹き替え風に)」と讃えておきました。
Expressと侮るなかれ。職人です。
『こりゃひどい』『なんで治すの』と言ってた割に、やっている内にスイッチが入ると本気で細かい作業を追加してしまうんでしょうね。採算と時間度外視で。職人というよりアーティストかなぁ。
セヴシックなどに見る、チェコ人が本気で細かい技術にこだった結果を見てしまった。
ビフォーの写真があんまりなくて本当に残念。
何度も言いますがアッパーはビルケンシュトック正規店でも断られた状態でした。
『完全にニューシューズだよね?』とご満悦でしたが、これでこのビルケンシュトックへの思い入れが増してしまった。こりゃ今度壊れても捨てられねぇや(何故か江戸っ子風)。
今度壊れたらまた彼にリペアに出すためにチェコプラハに来ても良いなぁ。
すっかり新しい履き心地のサンダルで、次の都市Brnoに。
窓口でのチケットの買い方があまり分からず、空席を探すのに苦労しました。
日本人の感覚だと、空いていると思って座っていて後から指定席を購入した人が来ると何か遠慮してしまいそうになりますが、隣にずれれば良いだけです。通路に荷物を置いても通れれば文句を言われたり嫌な顔はされません。
気持ちよさそうに眠るワンちゃんに癒やされました。
他の国と同様、普通に犬が乗れるのですがそのぶんちゃんと躾られていて大人しくいい子です。
さて、良い思い出ばかりのプラハを後にブルノへ。明日からの夏期講習、どんな出会いがあるでしょうか。
寮生活。ちょっと殺風景なのでとりあえずひまわりを買いました。
YukiTAKUBO; Violine