クラス,ライヤー、新美隆。『オランダのモダン・デザイン リートフェルト/ブルーナ/ADO』2016年、平凡社
『うっせぇわ』の方ではない。
オランダ新造形主義の「デ・ステイル」の建築家へリット・トーマス・リートフェルト(1888-1964)、ミッフィーでお馴染みディック・ブルーナ(1927-)、オランダの玩具シリーズADO(「障がい者による仕事」の意)の展覧会のカタログである。
リートフェルトのシュローダー邸には一目惚れしてしまう。こんな家に住める人生に生まれ変わりたいと思った。
特に階段の踊り場にある電話用のスペース。家のどこかに見様見真似のニセモノを増設することを本気で考えた。
いや、この引き戸と椅子があれば良いというわけではなく、白い階段の青い床、ちょっとした赤のコントラストというトータルでないとダメだ。やっぱりうちではダメ。
この、ブルーナの絵本にもADOのドールハウスの家具にもそれぞれが通じる可愛くて、それなのに簡素で機能的なデザイン。
テーブルや椅子なんかも、なんとなく作れそうでいて誰にも考えつかない組み合わせが良い。
ブルーナ特有の「いつもすこし震えている」「まるで心臓の鼓動のような」「わたしの個性」の線が引かれる過程も感動する。
あの手書きそのものっぽいのに、ある意味でCG的な色塗りの正体も初めて知った。こんな制作過程を経てミッフィーちゃんが生まれていたとは。
そのミッフィーの原点の「うさこちゃん」1955年版。原形を留めていない。むしろ、ミッフィーが原形を留めていないのか。
それにしても印刷後の状態を良く知っている絵の、鉛筆の印やテープでタイプの張られた原画、萌える。『うさこちゃん びじゅつかんへいく』(1997)の「どうやってみるの?」の頭の角度、これもやっぱり、可愛い。
ADOのおもちゃもとにかく可愛い。1930年代に作られた、塗料が剥げた年代物のミニカーがたくさん掲載されているが、これが90年も前に作られたなんて、とも思うし、こんなミニカーなら大人になってからもつい再び取り出して並べて遊びたくなると思う。
部屋の模様替えをしたくなってきたなぁ。
(2021/05/02)
#読書日記