1週間の大学weekの締めくくり、ダイオンの定期演奏会でした!
私の記録によると、今回は私が12年前に音楽大学に入学して初めてオーケストラを経験してから80回めのオーケストラ公演でした。
楽団の正団員の方だと、多い楽団で年間200公演という所もあるくらいなので、経験はまだまだ…ですが、一つ一つに思い出があり、殆どの公演はその日の景色を思い出すことができます。
その中でも今回のプログラム。
新旧の顔ぶれ。
どれも大好きな曲です。
ベートーヴェン作曲 交響曲第一番
ベートーヴェンは、いわゆる「第九」は何度も乗っているのですが、彼のシンフォニーの原点となる第1番は、モーツァルトやハイドンの様式を美しく引き継いだ所、ベートーヴェン特有の異様なアクセントや立派な序奏や終止といった個性を両方兼ね備えた一曲。
また、指揮者がリハーサルで仰ったように、「大学生のオーケストラが子供のオーケストラのように聴こえちゃう、超一流のプロオケが学生オケのように聴こえちゃう。そういう事が起こり得る、難しい曲。指揮のコンクールではイントロだけ振った時点で照明が消えてハイさようなら…なんてことも」という、ごまかしの利かないある意味非常に挑戦的なプログラムでした。
私も、事前の個人練習でも「我ながら下手…幼稚…」と苦戦しました。ベートーヴェンの文章というものをちゃんと理解して演奏しないと、すごく幼稚な演奏になってしまうのです。
それを、どうにかこうにかリハーサルに持って行き、リハーサルで指揮者や学生さんたちと一緒に音符の一つ一つに生命を色付けしていく作業は本当に楽しかったです。
今、個人的にベートーヴェンの第7番ソナタに取り組んでいますが、このリハーサル前と後で楽譜に書かれたメッセージが色々と目に入るようになりました。
シベリウス作曲 交響詩「フィンランディア」
シベリウスのヴァイオリン協奏曲を勉強した時、「鳥になって、音楽の景色を俯瞰するように表現してみたら」というアドバイスを貰いました。
初めてこの「フィンランディア」を演奏したのはそれより前でしたので、何も考える余裕がなかったのですが、改めてそれに共通することが物凄くたくさんあり、フィンランドの壮大な自然や景色をイメージしながら…、また、管楽器の美しい旋律や鬼気迫るファンファーレにたくさんの景色を見せて貰いました。
レスピーギ作曲 交響詩「ローマの松」
この曲にはものすごくリハーサルの時間を取られました(笑)
何って、練習しない時間をです。
この交響詩は4つの場面の松をそれぞれ音で表した音楽で、バンダと呼ばれる特殊な仕掛けで演奏するパートがとてもたくさんあります。2楽章、カタコンベでは舞台裏で遠くから鳴るトランペットや、4楽章、アッピア街道では客席から、始めは幻聴のように、徐々に全貌を表してくる軍隊のファンファーレなど。
舞台上でみんなが同じ情報を共有して調整することができないので、微妙な位置を決めるのに大変時間がかかりました。
3回めの「ローマの松」ですが、これほどバンダの位置にこだわって演奏した指揮者は今回が最大級でした。その成果あって、特にフィナーレは鳥肌が立つような素晴らしい効果が出たと思います。
で、個人的には3回めにして初めてちょっと音の描写を楽しむことができました。
この曲のヴァイオリンパートは、びっくりするような高音域は多いものの、それほど技術的に難しいという訳ではないのです。
ですが、
忙しい!!!
のんびり情景を味わっていると、変拍子や物凄い音域の変化に置いてけぼりにされてしまいます。初見ではきっちりとカウントするので精一杯。
特にトリッキーな1楽章と、リズムと音色の繊細な3楽章は難しいです。
2楽章の聖歌のパートと、4楽章の進軍のトレモロなんかは、音の温度などを味わいながら演奏できたかと思います。
今回は母と、親戚と、ふら~っとのお客様が聴きにきてくれました。
ローマの1楽章は子供たちがかしましく遊びまわっている描写なのですけど、曲目解説を全然読んでいなかった母が「子猫が遊んでるみたいな曲だね」と言っていたので、なかなか良く描写できていたのではないでしょうか。
また、差し入れにこんな可愛いチョコレートを貰っちゃいました(*^_^*)
差し入れは学生さんにしか来ないと思い込んでいたので、帰りがけに「田久保先生に」と受け取ったときはサプライズでとっても嬉しかったです。
Kさん、ありがとうございます!
また、今年から指揮者に就任した新通英洋先生の授業は学生の内に受けておくと、本当にオーケストラを深く味わい楽しめるものになると思いました。
私達の代ではM先生、K先生、O先生、また大植先生や西本先生の特別レッスンなどもあり、それぞれ本当に有意義な時間でしたが、新通先生世代の学生さんも素晴らしい経験ができると思います。
卒業してからもこうして毎年原点に立ち返る機会を与えられることに感謝、そして感激。
私が学生だった時には、教員の先生方(当時は演奏員という名称はなかった)は何でも弾ける憧れの存在でした。
自分がその立場になり、案外演奏員もわたわたしていたり、学生さんに良く弾けるなあと関心或いは驚嘆したり、また感動させられたりして、寧ろ学生さん達にたくさんのものを貰っているのだと分かりました。
大阪音楽大学今年度の学生オーケストラのみなさんに、本日の公演の成功と、これからの活動に、心から拍手を送ります。
学生さん達は今頃打ち上げだろうな~、と思いながら、演奏員のワタクシは布団にばたんきゅーします。
おやすみなさい。
YukiTAKUBO; Violine